皆さん元気ですか。早いもので今年も残すところ後一月となって参りました。今年は冬将軍が随分と張り切っていらっしゃるようですので、年末のお祭りに向け体調管理には十分にお気を付け下さいませね。何事も身体が資本です。折角のお祭りなのですから万全の状態で望みましょう!
さて、時節の挨拶も済んだことですので、オススメの本のご紹介に移りたいと思います。今回ご紹介しますのは、ウェブスター女史の「あしながおじさん」です。かなり有名な作品ですので、ご存知の方もさぞや多くいらっしゃることでしょう。ジルーシャからあしながおじさんへ宛てられる心温まる……時として飾らない彼女の素直な気持ち(多少暴言的であるのはお愛想です。本人も反省していることですから)が綴られた手紙は、ジルーシャからの手紙を心待ちにしているあしながおじさんならずとも、心躍らせずに読むことは出来ません。あしながおじさんに見初められてからというもの、彼女の周囲には幸福が満ち満ちており、物語終盤には最高の幸せを手にする、そんな感動のお話ですね、はい。感銘を受けた方もさぞや多くいらっしゃることでしょう。私も涙したものです、ええ。「ジルーシャ良かったね」と……。
ですが少し待ってほしいのです。ここまでは心清き頃の私の感想です。しかし今はどうでしょう。世の中の荒波に揉まれ、私もすっかり穢れてしまいました。そんな何事も曲解して考えるようになった私に、ここで一つの発言を許して頂きたい。
「ジルーシャは本当に幸せになったのか?」
勿論彼女自身の口からも幸せであると語られていますので、それを疑うのは可笑しなことと思われてしまっても仕方ありません。だがそれさえもあしながおじさんの策であるとしたらどうでしょう。そう、ジルーシャにはあしながおじさんに好意を寄せるという選択肢しか用意されていなかったのです。偶然ではなく必然。全てはあしながおじさんによる光源氏計画の賜物なのでした。
孤児院でお気に入りの女の子(幼女)を見つけた(ロリコンの)あしながおじさんは興奮、そして決意します。
「あの幼女は私が貰った!」
wktkを隠し切れないあしながおじさんは早速ジルーシャへの支援を願い出ます。
是には院長大喜び。
「うはw マジですかw それは本当に有難う御座います。ジルーシャも喜ぶことでしょう」
あしながおじさんへ感謝の念を讃えます。
是に対しあしながおじさんは、
「いえ、当然のことをしたまでです。若き才能を育てることは私共の務めですからな」
紳士的な答えを返すものの、内心では、
(おいおい、何か感謝されちゃったよw 念願の幼女が手に入るんだからお礼を言うのはこちらの方ですよwww)などと最低なことを考えているのでした。
本当なら今すぐにでも手を出したい……いや、自分があしながおじさんであると名乗り出たい衝動に駆られながらも、
「今は我慢の時だ!」とぐっと堪えるあしながおじさん。
焦らされれば焦らされるほど萌えるものとばかりに、ジルーシャへの歪んだ想いを日々募らせていくのでした。
ジルーシャからの手紙を幾度か受け取ったあしながおじさんは、気付くのでした。
「あれ、ジルーシャってもの凄く良い子なんじゃねえw 容姿だけでなく、心も素敵なんて完璧じゃないか♪ 俺勝ち組み決定www」
あしながおじさんの歪んだ想いを知らずもがな、健気に手紙を送り続けるジルーシャ。彼女の真意は救いを与えてくれたあしながおじさんへの、せめてもの恩返し。それなのに、テラポジティブシンキングなあしながおじさんは、
「うはw ジルーシャちゃんも私に気があるんじゃねえw 参ったねこりゃ、相思相愛だよwww」と空気の読めなさが半端ではありません。
自身の行いがあしながおじさんを助長させることになっているなどと、ジルーシャは夢にも思わなかった事でしょう。
そればかりか、冷たくされれば逆に燃え上がるもの。流行のツンデレを早くも実践したあしながおじさんに心奪われてしまうジルーシャは、更なる深みへ。
ツンデレが好きなことに男女の別はないのでした。
手紙によりジルーシャの動きを完璧にコントロールするあしながおじさん。時に彼女の強情な姿勢に手を焼きながらも、彼女からの手紙を眺め、表情が緩むのを隠し切れなかったことでしょう。
「うはw ジルーシャちゃんからの告白キターーーwww 私があしながおじさんだと知らずのこととはいえ、是はニヤニヤが止まらない♪」
ジルーシャの告白以後、あまりの嬉しさから次の手紙をwktkで全裸待機するようになったあしながおじさん。しかし、幾ら筆まめなジルーシャからとて手紙が届くのは数日か先。案の定風邪を引いてしまいます。ともすれば、養生に努めるべき状態に気付きそうなものであるが、ジルーシャのことしか考えられなくなっている、憐れ、あしながおじさんはwktkで全裸待機を止めようとしません。家臣が幾ら進言しようとも聞く耳持ちません。(家臣も、全裸でニヤニヤ、ゴホゴホやっている変態さんには、恐くて容易には近づけなかった事でしょう)
こんなことを幾月か続けていたある日、ついに恐れていた事態が発生してしまいます。あしながおじさんが風邪を拗らせて重い病に掛かってしまったのでした。だけれども、そこはポジティブなあしながおじさんのこと、
「よっしゃー、これでジルーシャちゃんにお見舞いに来てもらえるwww」
めげるどころか喜んだに違いありません。現にジルーシャに見舞われたあしながおじさん(もっともこの時はあしながおじさんとして対峙したわけではありませんが)は直後元気を取り戻しました。
「ジルーシャは、よほどの名医に違いない」ってどんだけーw
素直すぎだろ、あしながおじさんwww
ジルーシャも、「○○さんがあしながおじさんだったなんて、ちっとも気付きませんでしたw」とかなんとか言っている場合じゃないよ。どうみてもマインドコントロール完了です。本当にありがとうございました。
こうして理想の娘っ子を手に入れたあしながおじさん。容姿端麗、頭脳明晰、心も清く、その上、どこまでも尊敬の念を抱かれ、ともすれば、妄信的でさえあるだなんて、羨ましい! 羨ましすぎるぞ、あしながおじさん!
要するに、金が全てって事でおk?
流石はウェブスター女史最高傑作との呼び声も高い「あしながおじさん」は奥が深いです~。皆さんも第二第三(いや、既に数千人くらいはいると思うんだけど、それは気にするな)のあしながおじさん目指して頑張って下さい。共に栄光(可愛い幼女)を掴み取りましょう!
あれ? 誰か来たみたいだ。ちょっと行ってくるな……。
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