先日のことです。ホストルーム(スパコンが置いてある部屋)にてデータのバックアップ処理をしていたのですが、(ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、バックアップ処理はテープの入れ替えに手間が掛かり、書き込みに時間が掛かるものなのです)私以外に誰もいませんでしたので、これは歌うしかないと思い、大声で「エプロンだけは取らないで!」を歌い始めました。ゆいになりきってそれはもう熱唱ですよ。何十回と聴いているだけに上手く歌うことが出来ましたので、満足していると、なんと裏の方から女の娘が出て来たではありませんか。もの凄く気まずそうに……。
その娘は、この秋から当方にて働き始めた新人さんで、ホストルームの整理を頼まれたそうなのです。散らかす人がいるから困りますよね。如何して使った物を元に戻すことも出来ないのでしょう。全く、誰ですか? 皆迷惑していますよ!
まあ、私が主な原因なのですがw
(新人教育は他の者に任せていますので)これまで仕事の上で彼女と直接関わったことはありませんでしたから、彼女の私に対する評価は「職場の先輩(一応上司なのだが、そうは思われていないんだろうなw)」であろう。(さすがに空気はないはずなので)今はまだ親密度が低くとも、時と事を重ねれば、いつかは恋仲になることも可能なはず。要するに彼女は攻略対象。
この状況沈黙はまずいと思いましてね、
「お疲れ様、仕事は順調ですか? わからないことがあれば何でも聞いて下さいね」などと「優しいお兄さん」への昇格を試みたわけですよ。放って置いたら「キモヲタ」に認定されること間違いなしですからね、必死でした。
そうしたら「有難う御座います。ですが、頼まれていたことはもう完了しましたので、ご心配には及びません」だって……。
これは彼女が礼儀正しい良い子ってことで宜しいのですよね? 既に避けられていたわけではありませんよね?
いや、よくよく思い返してみれば、彼女の目は豚を見るそれであった。
「そんな豚を見るような目で見ないで下さい!」
言ってやれば良かった。
作業を終え、自室に戻った私に、開口一番秘書がこう言いました。
「何をしたのですか?」
口調はいつもと変わらぬものの、どうやら彼女は怒っているようでした。付き合いの長い私にはわかります。
「何もしていませんよ。何かあったのですか?」
おかしい、
今日はエロゲーもちゃんと片してあるのに何故怒られるのでしょう。理由はわからないものの、すぐさま否定してしまうヘタレな私。
「○○さんから苦情がありましたよ。新人の女の子をあまりいじめてくれるなと。また何かしたのですね。いい加減現実とゲームの区別くらいはして下さい」
酷い言われ様、確かに現実とゲームの区別はあやしいものであるが、濡れ衣を着せられたままで黙っていられよう筈もありません。
「本当です。仕事についてわからないことがあったら聞くように言っただけです」
「嘘仰い、それなら如何して新人の女の子が動揺しているのです。何かあったからでしょう。ゲームをやるな、アニメを観るなとは言いませんが、せめて正直であって下さい」
これは……よほど信用がないとみえる。
私は秘書に話しました。誰もいないと思い、アニソンを大声で歌っていたところ、新人の女の娘に聞かれてしまった事。少なからず、下心を持って新人の女の娘に接していた事。
全てを理解した秘書はとても怒っていました。特に後者で。今回の一件、原因は前者にあるはずなのに後者で怒られるなど、おかしな話。違和感を抱きつつも、口には出さず甘んじて秘書のお叱りを受けました。「そんなに怒るのは焼きもちに違いない、可愛い奴め♪」などと考えながら。
○事後報告
・失ったもの
攻略対象一
新人の女の娘に関わりたくもない豚野郎に認定された為
こはるびよりサウンドトラック一
冷静になった秘書が真因はこのCDだと判断した為、没収される
・特記事項
こはるびよりサウンドトラック没収はアニソンを糧に生きる当方にとって大きな痛手となる、由々しき事態であるように思われるかもしれないが、予備含め全部で五つ購入していた為、実質的な被害は少ないことをここに記しておく。
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